2013年12月19日木曜日

今年も三崎にて



引きちぎるように目が覚めた。

天井の螺旋。

見えない窓の外。

TVの美女が正解を言った。それはオマケでしか無かったけど。

見えないはずの窓の下、荷物にかけた布がヒラヒラと揺れていた。



今年は色々なことがありました。
夏の初めの工房移転をきっかけに、示し合わせたようにまとめて現れてきた様々な出来事に、なかなか辛いなと思うこともたくさんありました。

けれどだからこそ、今年も変わらずにsolの二人展で一年を締めくくれることが、じんわりしっかりとうれしいと思います。

昔、「Into the Wild」という映画を観た時、それまでおぼろげに思っていた、人はどこまで行ってもひとりだという想いに確信を持ちました。
世界はひとりひとつで、みんなそれぞれ生きている世界は違う。
でもだからこそ、それぞれの世界が奇跡的に重なり合う瞬間は、何よりも大切で喜びに満ちているんだと。

大変だったけれど、たくさんの人に助けられ、大切な喜びを確かに感じることができた一年。
それを象徴する今年最後の展示です。

毎年恒例の近藤との二人展ですが、気持ちはsol店主菊田も合わせての三人展です。

今年も、皆様と世界が重なる瞬間を感じられますように。
是非、遊びにいらしてください。



須原健夫×近藤康弘 2人展「朝ごはん」
場所:うつわとくらし sol
会期:2013年12月20日(金)~29日(日)
11:00~18:30 会期中無休

http://sol-web.seesaa.net/s/article/381385802.html

2013年10月25日金曜日

新作「手匙」と生命との距離



















手の先で生命に触れた

二、三度笑って

二、三度よろめいた

ただいま生命

右手で口づけを



昨今、食べ物との関わりがシステム化されて便利になっていく中で、食材との距離感がより一層、遠くなっているように感じます。
そんな中、食材との距離が近くなる匙作りをしたくなり、新作「手匙」を創りました。
手と食材の物理的な距離もそうですが、それによって食材と心の距離が近くなることが、一番の想いです。
食材との距離が、生命との距離を感じさせてくれますように。
すくう、切り分ける、塗るもできる原始的な「へら」をイメージした「手匙」
現在、吉祥寺poooLにて開催中の企画展「10月の台所」に出品中ですので、是非、会場でお手にとってご覧ください。
皆様のお越しをお待ちしております。
「10月の台所から」
期間:2013年10月18日(金) ~ 10月27日(日)
時間:12:00 ~ 19:00
場所:poooL 本店
http://poool.jp/contents/6424

2013年10月4日金曜日

10月の台所から

















橙色の宙。

空気のせせらぎで体を洗う。

夕餉の香り。

柿の笑う音。

シャツの裾がふくらんだ。

身体の輪郭と、心だけがそこに残った。



待ちに待った秋。

吉祥寺のとある台所には、それを楽しむ為のうつわや道具達がところ狭しと並びます。

陶器にガラスに布。そして金属。
yutaの新作もどうぞ。

ほら、夕顔さんが料理のうつわを選んでる。

涼しい風に乗って、ユキさんの音楽が聴こえてきたら。

さあ、楽しい秋を始めましょう。


「10月の台所から」
期間:2013年10月18日(金) ~ 10月27日(日)
時間:12:00 ~ 19:00
場所:poooL 本店
http://poool.jp/contents/6424

2013年9月2日月曜日

新しい工房















坂の上から街が見えてはっとした。

眼下には地平線まで延々と大阪の街が広がっている。
あそこで一際高く見えているのは梅田のビル群だろうか。

「コンクリートでできた醜い景色だな…フフフ……」
と昔なら言ったかも知れないけれど、
「綺麗なものは綺麗なんだからしょうがないじゃない」
と想えるくらいには自分に素直になった。
たとえそれが細部が見えないからこその美しさだとしても、醜いものを内包した美しさだとしても眼下に広がるそれはやはり美しい。

この街の名前は大阪府箕面市という。
滝と紅葉が有名な観光地で、週末にはハイキングに森林浴に、自然を求めて都心からたくさんの観光客が訪れる。

夏の始めにこの土地で家を貸していただいた。
新しい工房として使う為だ。

それから約3ヶ月。
ジャングルと化した庭と格闘したり、ひっきりなしに訪れる猫達と縄張り争いをしたり、家に色濃く残る記憶と対話したり、新しい記憶をそこに置いていったり。
少しずつ新しい工房はかたちを見せ、先日やっと活動を再開する準備が整った。

身の置き所に迷ったり、庭に猫が来るたびにそわそわしたり、まだ馴れない部分は多いけれど、今は起こること全てに可能性が隠れているからきっと大丈夫。

坂の上から大阪の街をひとしきり眺めた後、後ろを振り向く。
山が風を受けて、よっこらしょと体を動かした。

ここは狭間の街。
コンクリートの灰色とも、山の緑とも違う街。

どうにも落ち着き処が無くて、なんだか自分のようだと思った。

どこかで新しい花が、身動ぎをした。






2013年6月10日月曜日

週末食堂にて
















京都の路地を少し入った。

路地を歩くのはなんだか楽しい。

人の暮らしの想い出が、町家の小道をぼんやりと照らしていた。



京都の町家で、暮らしに寄り添う道具達を扱ったお店を営む「テノナル工藝百職」さんで企画展に参加させていただいております。
様々な素材でつくった匙やすくう道具、それに布ものや、古いスツールなども並びます。
工房を移転して初めての展示会。
はじめてかさなる、大切な世界。

「週末食堂にて-4人の男と1人の女と、匙やすくう道具たち-」
2013/6/8(土)-30(日)※期間中は火・水曜休
11:00-18:00(最終日は17:00まで)
場所:テノナル工藝百職

2013年6月8日土曜日

新しい土地で
















まずは始めよう

白に黒に翡翠色

跳ね回る川の畔で



人生の半分くらいを過ごして、東京を後にしました。
高校を卒業し、夢に向かって駆け出して行った東京という町。
夢のかたちは少しずつ変わっていきましたが、それはいつしか現実のカタチとなって、少しずつ手の中から姿を現すようになりました。
それは昔、想い描いたような名声でも、たくさんのお金でもありません。
小さいけれど何よりも大きい、もっと近くにあって、もっと大切なものを、東京で過ごした日々が教えてくれました。

それを持って帰ってきた大阪。
自分はどんな風に変わっていくのか。何が変わらず残るのか。
変わることは楽しみで、変わらないことは心強い。

工房の準備はしばらくかかりそうなので、住まいとして借りている武庫川(兵庫県)の畔の家で、今できることをあれやこれや、やっていこうと思います。

大阪からまた皆様にお会いできるのを楽しみにしつつ。



水鳥の隣に在る家より

工房移転のお知らせ

関西への工房移転の為、青梅の実店舗は閉店となりました。
なお、関西での店舗の再開は未定となっております。
長らくのご愛顧本当にありがとうございました。

※お問い合わせ方法は当面の間、メールのみとなります。
ご不便をおかけしますが何卒よろしくお願い致します。

mail@yuta-craft.com

2013年3月31日日曜日

「日々のなかの真鍮に ある春の料理を」




















蕾の開く音が、する。

土から生がむせ返る。

もぐらのあな、また増えたか。

大地が少し身じろぎをした。



春がやってきました。
ゆっくりと、静かに。

山眠る厳しい冬は、やはり新しい命を懐に抱き、それを、少しずつ少しずつ産み落としていきます。

花が咲き

芽を出し

葉が開き

今年も新緑に彩られる春。

中板橋のrojicafe atoにもそれは訪れて…



































「日々のなかの真鍮に ある春の料理を」


yuta(真鍮)× 夕顔(料理)

yutaの真鍮の暮らしの道具展と、
夕顔によるyutaの器をつかった春の料理 / 食事会

【 会期 】
4月19(金)20(土)21(日)、
4月26(金)27(土)28(日)29(月・祝)
* 20(土)と27(土)は食事会(要予約)

open 12:00 - close 18:00
* 20(土)27(土)は、食事会ご参加のお客さま以外のご入店を
14:30-16:30までとさせていただきます  何卒ご了承ください

食事会の詳細・ご予約につきましては→こちらをご覧ください




















↑クリックすると大きくなります。

【 場所 】
rojicafe ato
東京都板橋区弥生町68-1
03(3956)2254

2013年3月5日火曜日

古谷浩一・yuta須原健夫/2人展


白が揺れる

刻が揺れる

バレエの真似をして

少しはにかんだ。



3/2(土)より、東京八王子のatelier yorimitiさんにて「古谷浩一・yuta須原健夫/2人展」が始まっております。

古谷さんの粉引のうつわはとても優しい白をしています。
乳白色に朧げな緋を流し込んだような古谷さんの白を眺めていると、漂白されたような白に溢れた現代に、少し疲れていたのかもしれないとふと思いました。



yutaはシルバーのアクセサリーをメインに、真鍮のカトラリーを展示させていただいております。
アクセサリーメインの展示はなかなか行う機会が無いので、実際に手に取り、自然が創り出す様々なカタチをお楽しみいただけると幸いです。

展示は3/9(土)までとなります。この機会に是非、遊びにいらしてください。