2015年3月19日木曜日

お茶の時間ですよ。





















白い猫に誘われた路地裏で
カタカタと薬缶の揺れる音が聞こえた。

ようこそ、お茶の時間ですよ。

とっておきのお盆の上で、いろんな小皿を並べましょう。
お気に入りのカップを選んだら、ポットの中で葉が開く。
今日のお菓子は何かしら。

お茶の時間を始めましょう。























気に入った道具を使ってお茶を飲む時間。
そんな時間には、背筋をすうっと伸ばすような気持ちの良さがあるように思います。
木と土と金属でそんな時間を提案する三人展。
京都のテノナル工藝百職さんで開催中です。
是非遊びにいらしてください。

お茶の時間ですよ -小さなコーヒータイムと長く使いたい道具たち-
※最終日3/22(日)は17:00で終了
場所 : テノナル工藝百職
※最終日の13:00より在廊しております。

2014年12月31日水曜日

秋を、そして一年を振り返って

















9月。
高松にて瀬戸内生活工芸祭。

初めての高松に胸が高鳴る。
大きな松が松ぼっくりを落とす会場で、全国から訪れるたくさんのお客様と出会う。

多様化するものづくりの世界を、生活工芸という言葉で切り取る。そんなできそうにも
無いことが、現実になろうとしている。
ふと思い出す時、海辺を撫でる風のような心地良さが心に残っている。実はそれが一番
すごいことなのかもしれない。



















9月から10月。
岩国のhimaar coffee & craftsにてyuta初の個展「ACCESSORIES」

展示するほぼ全ての作品を一点物で構成する、新たな試み。
企画のイメージがそのまま目の前に現れたかのような空間に喜びを噛み締める。
こんなに贅沢でありがたいことは無い。

岩国のお客様との新しい出会い。
遠方からお越しいただいたお客様とのうれしい再会。
そして素晴らしい空間をご用意してくださった店主ご夫妻との時間。
初めての個展としては、出来過ぎなくらい恵まれていた。



11月。
ARTS&CRAFT 静岡

一般参加に加え、一輪挿しをテーマにした小屋企画「アキ 花めでる コヤ」にも参加させていただく。

会場入口に佇む小屋は、別世界のようでありながらも、人の近くにあるような優しさを感じる。
人の想いが重なって、関わり合いの中でより美しくなっていく世界がそこにあった。



















11月。
静岡にて、くらしのこと市。

静岡市の山間の木工所を会場として、お客様も出展者も、一日のびのびと過ごす、まるで一緒に暮らすような市。

随所で新しい芽が顔を覗かせる、新しい価値観を生み出す試み。
もしかしたらそこは、瀬戸内生活工芸祭と真逆にある場所なのかもしれない。
そんなことを思った。



11月から12月。
京都のテノナル工藝百織にて、企画展「週末食堂にて-食堂車に揺られて- 」

食堂車をテーマにした、ストーリーを感じることができる展示。

焼きもの、木工、布の作家さんと、ひとつの空間を創り出していく楽しみは、ショップオーナーの丁寧な展示づくりと誠実な人柄があればこそ。
来年早春の三人展も、楽しみでならない。



2014年。
今年もたくさんのご縁の中で、充実したものづくりの日々を送ることができました。
改めて、yutaの作品をご覧いただいたたくさんのお客様、そしてものづくりを通してご縁をいただいた全ての方に心より感謝致します。

2014年9月26日金曜日

個展「ACCESSORIES」


明日より山口県岩国市のhimaar coffee&craftsにて、yuta初の個展が行われます。

yutaの原点であるアクセサリーを、空間を贅沢に使って並べさせていただきます。
作品は、全て今回の展示の為に作った、型を使わない一点物。
シルバーの無垢のものを中心に、金属の肌感を楽しんでいただけるような作品が揃います。

どうすれば素材が美しい姿を見せてくれるか、どうすればその美しさを損なわずに身に付けるというカタチにすることができるか。

金属の自然な美しさを見つけること、伝えること。
いつの間にか今回のテーマはそうなっていきました。

そして、今回のもうひとつの目玉がyuta × himaarのコラボベルトです。
シンプルで真っ当なデザインのベルトを、丁寧に。
末長く使っていただけるような、皆様の一生物になれるような作品を目指しました。

皆様、yutaの原点であり新しい世界に、是非遊びにいらしてください。


yuta 個展 ACCESSORIES
場所:himaar coffee & crafts
会期:9月27日(土)~10月5日(日)10:00~19:00 ※9月29日(月)休み

2014年9月11日木曜日

宇都宮「ハンドクラフトギフト展」

宇都宮陶芸倶楽部gallery & studio COTAにて、ハンドクラフトギフト展に参加しております。

陶器を初め、木工に、七宝にと、多彩な顔ぶれ。
yutaは、お手にとっていただき易い暮らしの小物が並びます。

会期中はオーナー手打ちのうどん屋さんも出ているそうです!(気になる…)

森の中のギャラリーへ、是非遊びにいらしてください。

開催期間:2014/9/6(土)~9/15(月)10:00~18:00
※ 9月8日(月)はお休み
開催場所:宇都宮陶芸倶楽部 内
gallery & studio COTA
http://u-tougei.com/gallery-craft.html

2014年9月5日金曜日

八王子を想い出して

















御岳神社。
御岳山の山頂集落の、さらに一番上。

空に一番近いその場所で、その一日は始まった。

八王子atelier yorimiti。
僕はこの場所に約一年ぶりに戻ってきた。
青梅のガラス作家、平岩愛子さんとの二人展。

山の霧と汗で濡れた体を、温泉で流し、八王子へと向かう。
八王子はちょうどお祭りの時期だったようで、お店の周りもにわかに活気付いていた。

いよいよ、二人展が始まる。

お客様は来てくださるだろうか。
その不安も束の間、途切れること無くお客様が訪れ、ゆっくりと作品を観てくださる。
流し見して、さっと出ていかれるお客様はほとんどいない(流し見でもありがたいのだけれど)

店主の川中子さんは、訪れるお客様をそっと見守る。
そして時に、旧知の友人との再開を喜ぶように優しく話す。
きっと、そんな誠実で優しい空気感が、ゆっくりと作品を観られる空間を作り出すのだろう。

お客様も驚く程、優しい方ばかりだ。言葉にならないくらいありがたい再会に、そして初めての出会いに、僕も楽しい時間をたくさんいただきました。
ありがとうございます。
また、八王子の皆様にお会いすることができて、僕は本当に幸せです。

平岩さんのガラスは昼には柔らかい陽射しを鮮やかに身に宿し、夜には街の灯りをそっと照り返す。

大きなショーウィンドウの中で作品達は、遠い昔から旅をしてきたように、様々な顔を覗かせた。

yutaの作品も、これ以上無く活き活きと展示していただき、とても喜んでいるように想いました。

平岩さんと合作した、蓋物と風鈴を見る度に僕の顔も綻ぶ。

この場所に帰ってくることができて良かった。

atelier yorimitiの店主ご夫妻には、心より感謝致します。
お二人に出会えて、この土地の皆様に出会えて本当に良かった。

atelier yorimitiは9月末で、この土地での活動を終えます。
新しい門出に目一杯の祝福がありますように。心より願っています。

2014年7月28日月曜日

旅の記録 - 僕にとっては出来過ぎた、充実した一日の記録 -



東京に着いたらまず御徒町に行った。
御徒町は相変わらず、雑然と、そして人間臭く、そこに存在している。
多慶屋の前の交差点はこの町の空気を凝縮したみたいだ。
数え切れない程の足音、車のクラクション、音にならない衣擦れの音、幾重にも重なる信号待ちの人達。
自転車のおじさんが、蓋の開いてない缶コーヒーを落とした。

自分の周りを360°囲む雑踏。
久々のそれを楽しく感じながら、いくつかの用事をのんびりとこなした。



東京駅に荷物を置いて、目黒洗足の靴工房Co.&Kokoroneさんへ。
思ったよりも随分、駅から近い。目と鼻の先だ。
いい具合に時を経た、コンクリートの四角い箱。チェレステブルーに塗られた階段を二階へ。

驚かせようと思い、連絡をせずに訪問。 
うおっ!なんで?!という、リアクションを期待するも、ご夫婦二人ともびっくりし過ぎて言葉を失っている。
予想外のリアクションに、い、い、いや〜、ははは…とキョドリながら、久々の再会を果たした。

陽の光が柔らかく入る、工房のショップスペースで、久々にゆっくりと話をする。
雪国生まれのご夫婦は二人共、真面目で、芯が通っている。
こんなに靴に対して、真剣に、真摯に向き合っている人達を僕は知らない。
出来の良い弟がいたら、たぶんこんな感じだろうな。
楽しくてのんびりした時間が、流れていく。

僕のあまりにも汚れた靴を、見るに見兼ねて磨いてくれた。
新しい発見。靴が綺麗になると気持ちがウキウキする。
蜂のロゴマークが入った靴クリームを買った。
お二人共、次の日からイベントという忙しい時に、どうもありがとう。
次は連絡してから行きます…たぶん。



目黒線に乗って目黒まで行ったら、恵比寿まで散歩。
僕にとって、大切なお店へ。
そのお店には数える程しか行ったことが無い。それどころかまともに買い物をしたことすら無い。
けれどそのお店での記憶は、延々と流れるコマ送りの映画みたいに、常に心の中の何割かの場所を満たしている。
久々にそこに並べられた様々なものを見ていると、なんだか泣きそうになった。
古い道具を手に取ると、人の手を握るように温度が伝わってきた。
この店があって、僕は幸せだと思う。
いくつかの古い道具を買って帰った。



あらかた、行きたいところにも行けたので東京駅に戻る。
待ち合わせまでしばらく時間があったので、新丸ビルへ。

上の方の階に、キャッシュオンでビールが買えて、テラスで適当に座って飲める場所があったはずだ。

ハイネケンを買って、夕暮れ時のテラスに出た。
人もまばらで、気持ち良い。
向かいの高層ビルから、皇居の方まで見渡せる。
夕暮れ時の山には敵わないけれど、これはこれで美しい。やっぱり。

待ち合わせた友達と、昔この辺りでバイトしていた想い出を辿るように、ご飯を食べて、お酒を呑んだ。
一緒に働いたのは、20代後半くらいの時だったけれど、それは確かに青春だったなと思う。
想い出話に盛り上がるのは歳の証拠かもしれないけれど、想い出話が増えていくのは決して悪いことじゃ無いような気がする。



楽しい時間を過ごして、今日の宿へ。
少々呑み過ぎて、ぼうっと車内を眺める。
今日は出来過ぎた一日だった。
ふとそう想った。

旅の記録 - 特に意味の無いイメージの羅列 -




こだまの旅   - 大坂から東の都に至るまで -



「木曽川」

景色の映る、川幅の大きな川に行きたいと思った。

川の色は空と見分けがつかないような深い碧でも、空を拒みながらもその姿を映さずにはいられない暗い翠でも良い。

川面は出来るだけ、凪に近くて、それは川というよりも途方も無く大きな湖のようであれば、尚更良い。

低木が水の中に沈むように、浮かぶように点々とするその場所で、ただ川と空を眺めていたい。
時間も境界もあたまの中でぐちゃぐちゃになるような、曖昧な世界を僕は望んでいるのかもしれない。



「遠州灘」

防潮林が延々と続いている。

あの向こうは遠州灘だ。

こんな薄曇りの日の遠州灘はきっといつもより綺麗だろう。

多くも少なくも無い太陽光パネルが、まるでビニールハウスか何かのように眼下を流れていく。

そういえば遠州灘の端にも風力発電の大きな羽根が回っていた。

防潮林の途切れた所にある、あの橋はきっと1号線だろう。



「掛川 チェレステブルーの町」

チェレステブルーは、まるで蛇のように、長く尾を引く飛行機雲のように、線路脇の町に線を引いて行った。

駐車場の金網で、道路に架かる小さな陸橋で、その余りにありふれた褪せた青緑は、色を繋いでいく。

どこまで線を引くんだろう。

唐突に線が途切れた集落で、ポツリとチェレステブルーの屋根が見えた。

民家の上でその色はすでにありふれた色では無く、線の終着点であるかのように、通り過ぎる僕を待っていた。



「静岡に向かうトンネルで」

随分小さなトンネルが、山の中に並んで穴を開けていた。

あの小さなトンネルには、どれ程小さな電車が通るんだろう。
きっとスピードは出せない。
身体を揺らすとあのトンネルには入れない。

斜面に作られた茶畑でおばさんが、一生懸命働いている。

森の中の道路はそのままでトンネルみたいだ。

トンネル
トンネル
トンネル

視界が急に暗くなって、音は一際大きくなった。
こだまもトンネルに入ったみたいだ。

ここからはトンネルが増えるのかもしれない。



「谺」

山が谺を返す。

川が谺を返す。

畑が谺を返す。

山間の集落が谺を返す。

土から生えた世界で延々と谺は跳ね返り、原始の音を鳴らし出す。

祝宴はしばらく続いた。

やがて景色は、ビルばかりになった。
石で蓋をされた世界を、谺はただ音も無く通り過ぎて行く。

僕は窓の外に興味を無くし、カバーの破れた小説を読み始めた。

一時間もすれば、東京だ。

身じろぎした視界の端で、熱海の海が顔を出していた。