2016年10月29日土曜日

2016年振り返り「village三島」そして。

アルバムみたいな街でした。
三島大社の門前町として栄えたという三島市。
三島大社、格式あるホテル、ひっそりとした横丁、現代的なショップ、それらを繋ぐ透けるような小川。

三島楽寿園。
今回、villageが開催された場所です。
元は皇族の別邸だったというその場所は、幾人かの人生と共に時を経て、今も静かにその場所へと腰を下ろしていました。
現在は三島市が管理されているようですが、とても大切に管理されているのが、公園の木々や、職員の方の表情を見るととても良くわかります。

そんな中で行われた「village」は、スタッフの皆様の努力と、その場所が積み上げてきた時間が相まって、初回にも関わらず、不思議と地に足のついた雰囲気で始まりました。
近隣の沼津市や、少し離れた静岡市からも、たくさんのお客様がお見えになり、二日間楽しい時間を過ごさせていただきました。
静岡にお住まいの皆様、静岡に来てくださる皆様、いつもありがとうございます。

メリーゴーランド、小さな汽車。
大きな木、動物達。
この場所でまた皆様にお会いできるのを楽しみにしております。
 
 
そして。
 
三島市のギャラリー「sora」さんにて
11月11日(金)~17日(木)
加藤かずみ・yuta(須原健夫)二人展

皆様、是非お越しください。

2016年9月4日日曜日

2016年前半振り返り 「健康思考 」
















辛い時、行きたい。
楽しい時、行きたい。
何にも無い時、行きたい。
散歩してる時、行きたい。

学校は嫌いだけど放課後は好きだ。
人見知りだけど一人は嫌だ。

本を読んでる人がいる。
買い物している人がいる。
歌を聞いてる人がいる。
話したことないけど、見たことある人がいる。

コーヒーがある。

二人がいる。

そんな場所で二人展をしました。
たくさんの人と出会いました。
人の輪のある場所。
そこに居られた時間。

皆様、ありがとうございました。

僕の中の大切な景色。
またお会いできますように。


himaar↓
http://himaar.com/

2016年2月9日火曜日

二人展 「健康思考」 山口県岩国市で始まります。

















錦帯橋の美しい岩国市。
市役所の脇、褪せたオレンジ色の空気の中をふらりと進むと、なんだか気になる一軒の店があります。
大きなガラス張りのその店は、かつては書店だったという小さなビルで、入口には「himaar coffee & crafts」の文字。
そこは美味しいコーヒーと、さまざまな手仕事を紹介するお店。うつわにバックに手紙に本に、店主の秘密の本棚を覗いたような店内は、都会的なのにすごく自然体で、いつか本で読んだポートランドの景色みたいです。
そんな大好きな場所で、今年も展示をさせていだだけることになりました。
















「健康思考」
 -須原健夫(金属・yuta)・近藤康弘(陶器・四百窯)二人展-

会期:2月20日(土)〜3月6日(日)10:00-19:00 ※月曜休み。最終日は17:00まで。
作家在店日:2月20日(土)・21日(日)
場所:himaar coffee & crafts (山口県岩国市)

「健康」は二人の名前の頭文字を合わせたもので、かつ、二人のつくり手が目指す美しさのかたちでもあります。
健康的な美を志す金工と陶工、二人のつくり手が、日々悶々と思考しつつものづくりをしている様をお客様に楽しんでいただけると幸いです。

悶々と思考している様子はこちらのブログでどうぞ↓
須原健夫・近藤康弘二人展「健康思考」に向けて
himaar.com/blog/?p=4420
須原健夫・近藤康弘二人展「健康思考」に向けて(2)
himaar.com/blog/?p=4432

また現在himaar coffee & craftsでは、展示に先がけ二人のうつわと道具を使ってコーヒーとお菓子のメニューをお楽しみいただけます。
是非、実際の使い心地をご体験ください。
himaar.com/blog/?p=4452

2015年10月30日金曜日

夏の終わりまでを振り返り、そして想って


















2015.4.12ミドリノヒビキにて



[お茶の時間ですよ - 小さなコーヒータイムと長く使いたい道具たち - ]
京都テノナル工藝百職さんにて


柔らかい羽の中に芯をひとつ。
軽やかな心を失わず、さわさわと鳴る重みを失わず。


柔らかい空気の中で、行うことのできた今回の三人展。
本質は、お互いの柔らかさの中から、情念のようなものを引きずり出す作業。
その端っこに手をかけることができた時間。
発展していく関係性の始まりの時間。



[ARTS&CRAFT静岡手創り市]


紡ぎ出された絹の糸、熱を持つなら導火線
織から覗いた春の森、噴き上がるのはミドリノヒビキ


何度も何度も繰り返した言葉のやり取りは、それだけだと何かが足りなくて。
けれど、一緒に過ごす時間、たわいもない話、それらが関係性に熱を与え、全てに質量を与えていった。
共にひとつのものを創り出す、実感がそこにあった。

ミドリノヒビキエッセイ→http://shizuoka-info.jugem.jp/?eid=766



[山口ARTS&CRAFTS]


時間を繋げ、霧の湿り気で。
歩いて踊れ、子供の純心で。
暦を詠え、暦を唄えよ。山の向こうのこの詩を。


山口からの帰り道。西は宇部に、東は岩国に、いつもの道程を辿りながら家路に着く。不思議な程の人の縁と、それが続いていく、人の誠実さに感謝と敬意の念を持って。



[クラフトフェアまつもと]


森の畔のうつわの底で、音は迷う、音は探す。
大きくて複雑に、鍵盤を指がなぞる。


たくさんの人の心や生活を乗せて、巨象は進む。
誇りの中に新しい葛藤が生まれ続ける限り、それは偉大なる定点であり続けるのだと想う。


今年も気付けば秋となり、夏の終わりまでの間にも、たくさんの良き縁をいただき、とても貴重な経験をすることができました。
それも、全ては受け止めてくださるお客様があってのこと。
いつも遊びに来てくださるお客様、初めてお会いするお客様、真剣に見つめてくださるお客様、楽しんで寄ってくださるお客様。
何度言っても、言い足りることの無い言葉。
心からありがとうございます。
そして、妄想にも似た僕の情念を、情熱を持ってかたちにしてくださる、ギャラリー様、スタッフの皆様に改めて感謝致します。

今年もあとわずかとなって参りましたが、今後の展示予定も随時更新していきますので、よろしくお願い致します。

2015年10月23日金曜日

ON THE TABLE VOL.4「珈琲のうつわ」






















10/23~11/5まで、today's special自由が丘にて、ON THE TABLE VOL.4「珈琲のうつわ」に参加させていただいております。
お近くにお越しの際には是非遊びにいらしてください!

today's special HP → https://www.todaysspecial.jp/

2015年8月24日月曜日

子供の誕生













葉月。空が日没の準備を始める頃。

蝉の声を忘れたような静かな部屋で、思っていたよりも控えめな声を合図に、赤ん坊が僕達のもとへとやってきました。

子供が産まれるという大きな変化。
それは、日々の生活や心構えを大きく変えましたが、僕が人生において持ち続けてきた想いを力ずくで変えてしまうような理不尽なものではありませんでした。

どんなに大きな出来事があったとしても、想いは劇的では無く、淡々と募っていくものなのかもしれない。
変わることも変わらないことも、降り積もり足元の土となるように。
そんな実感は、確かに彼がここにいることの証明のようで、じんわりと喜びを感じます。

これからも、作り手として目指していく景色は変わらない。
けれどその過程に、子供が自分自身の幸せを見つける手がかりがあるように。
新しい小さな想いが大切に育っていきますように。

2015年3月19日木曜日

お茶の時間ですよ。





















白い猫に誘われた路地裏で
カタカタと薬缶の揺れる音が聞こえた。

ようこそ、お茶の時間ですよ。

とっておきのお盆の上で、いろんな小皿を並べましょう。
お気に入りのカップを選んだら、ポットの中で葉が開く。
今日のお菓子は何かしら。

お茶の時間を始めましょう。























気に入った道具を使ってお茶を飲む時間。
そんな時間には、背筋をすうっと伸ばすような気持ちの良さがあるように思います。
木と土と金属でそんな時間を提案する三人展。
京都のテノナル工藝百職さんで開催中です。
是非遊びにいらしてください。

お茶の時間ですよ -小さなコーヒータイムと長く使いたい道具たち-
※最終日3/22(日)は17:00で終了
場所 : テノナル工藝百職
※最終日の13:00より在廊しております。

2014年12月31日水曜日

秋を、そして一年を振り返って

















9月。
高松にて瀬戸内生活工芸祭。

初めての高松に胸が高鳴る。
大きな松が松ぼっくりを落とす会場で、全国から訪れるたくさんのお客様と出会う。

多様化するものづくりの世界を、生活工芸という言葉で切り取る。そんなできそうにも
無いことが、現実になろうとしている。
ふと思い出す時、海辺を撫でる風のような心地良さが心に残っている。実はそれが一番
すごいことなのかもしれない。



















9月から10月。
岩国のhimaar coffee & craftsにてyuta初の個展「ACCESSORIES」

展示するほぼ全ての作品を一点物で構成する、新たな試み。
企画のイメージがそのまま目の前に現れたかのような空間に喜びを噛み締める。
こんなに贅沢でありがたいことは無い。

岩国のお客様との新しい出会い。
遠方からお越しいただいたお客様とのうれしい再会。
そして素晴らしい空間をご用意してくださった店主ご夫妻との時間。
初めての個展としては、出来過ぎなくらい恵まれていた。



11月。
ARTS&CRAFT 静岡

一般参加に加え、一輪挿しをテーマにした小屋企画「アキ 花めでる コヤ」にも参加させていただく。

会場入口に佇む小屋は、別世界のようでありながらも、人の近くにあるような優しさを感じる。
人の想いが重なって、関わり合いの中でより美しくなっていく世界がそこにあった。



















11月。
静岡にて、くらしのこと市。

静岡市の山間の木工所を会場として、お客様も出展者も、一日のびのびと過ごす、まるで一緒に暮らすような市。

随所で新しい芽が顔を覗かせる、新しい価値観を生み出す試み。
もしかしたらそこは、瀬戸内生活工芸祭と真逆にある場所なのかもしれない。
そんなことを思った。



11月から12月。
京都のテノナル工藝百織にて、企画展「週末食堂にて-食堂車に揺られて- 」

食堂車をテーマにした、ストーリーを感じることができる展示。

焼きもの、木工、布の作家さんと、ひとつの空間を創り出していく楽しみは、ショップオーナーの丁寧な展示づくりと誠実な人柄があればこそ。
来年早春の三人展も、楽しみでならない。



2014年。
今年もたくさんのご縁の中で、充実したものづくりの日々を送ることができました。
改めて、yutaの作品をご覧いただいたたくさんのお客様、そしてものづくりを通してご縁をいただいた全ての方に心より感謝致します。

2014年9月26日金曜日

個展「ACCESSORIES」


明日より山口県岩国市のhimaar coffee&craftsにて、yuta初の個展が行われます。

yutaの原点であるアクセサリーを、空間を贅沢に使って並べさせていただきます。
作品は、全て今回の展示の為に作った、型を使わない一点物。
シルバーの無垢のものを中心に、金属の肌感を楽しんでいただけるような作品が揃います。

どうすれば素材が美しい姿を見せてくれるか、どうすればその美しさを損なわずに身に付けるというカタチにすることができるか。

金属の自然な美しさを見つけること、伝えること。
いつの間にか今回のテーマはそうなっていきました。

そして、今回のもうひとつの目玉がyuta × himaarのコラボベルトです。
シンプルで真っ当なデザインのベルトを、丁寧に。
末長く使っていただけるような、皆様の一生物になれるような作品を目指しました。

皆様、yutaの原点であり新しい世界に、是非遊びにいらしてください。


yuta 個展 ACCESSORIES
場所:himaar coffee & crafts
会期:9月27日(土)~10月5日(日)10:00~19:00 ※9月29日(月)休み

2014年9月11日木曜日

宇都宮「ハンドクラフトギフト展」

宇都宮陶芸倶楽部gallery & studio COTAにて、ハンドクラフトギフト展に参加しております。

陶器を初め、木工に、七宝にと、多彩な顔ぶれ。
yutaは、お手にとっていただき易い暮らしの小物が並びます。

会期中はオーナー手打ちのうどん屋さんも出ているそうです!(気になる…)

森の中のギャラリーへ、是非遊びにいらしてください。

開催期間:2014/9/6(土)~9/15(月)10:00~18:00
※ 9月8日(月)はお休み
開催場所:宇都宮陶芸倶楽部 内
gallery & studio COTA
http://u-tougei.com/gallery-craft.html

2014年9月5日金曜日

八王子を想い出して

















御岳神社。
御岳山の山頂集落の、さらに一番上。

空に一番近いその場所で、その一日は始まった。

八王子atelier yorimiti。
僕はこの場所に約一年ぶりに戻ってきた。
青梅のガラス作家、平岩愛子さんとの二人展。

山の霧と汗で濡れた体を、温泉で流し、八王子へと向かう。
八王子はちょうどお祭りの時期だったようで、お店の周りもにわかに活気付いていた。

いよいよ、二人展が始まる。

お客様は来てくださるだろうか。
その不安も束の間、途切れること無くお客様が訪れ、ゆっくりと作品を観てくださる。
流し見して、さっと出ていかれるお客様はほとんどいない(流し見でもありがたいのだけれど)

店主の川中子さんは、訪れるお客様をそっと見守る。
そして時に、旧知の友人との再開を喜ぶように優しく話す。
きっと、そんな誠実で優しい空気感が、ゆっくりと作品を観られる空間を作り出すのだろう。

お客様も驚く程、優しい方ばかりだ。言葉にならないくらいありがたい再会に、そして初めての出会いに、僕も楽しい時間をたくさんいただきました。
ありがとうございます。
また、八王子の皆様にお会いすることができて、僕は本当に幸せです。

平岩さんのガラスは昼には柔らかい陽射しを鮮やかに身に宿し、夜には街の灯りをそっと照り返す。

大きなショーウィンドウの中で作品達は、遠い昔から旅をしてきたように、様々な顔を覗かせた。

yutaの作品も、これ以上無く活き活きと展示していただき、とても喜んでいるように想いました。

平岩さんと合作した、蓋物と風鈴を見る度に僕の顔も綻ぶ。

この場所に帰ってくることができて良かった。

atelier yorimitiの店主ご夫妻には、心より感謝致します。
お二人に出会えて、この土地の皆様に出会えて本当に良かった。

atelier yorimitiは9月末で、この土地での活動を終えます。
新しい門出に目一杯の祝福がありますように。心より願っています。

2014年7月28日月曜日

旅の記録 - 僕にとっては出来過ぎた、充実した一日の記録 -



東京に着いたらまず御徒町に行った。
御徒町は相変わらず、雑然と、そして人間臭く、そこに存在している。
多慶屋の前の交差点はこの町の空気を凝縮したみたいだ。
数え切れない程の足音、車のクラクション、音にならない衣擦れの音、幾重にも重なる信号待ちの人達。
自転車のおじさんが、蓋の開いてない缶コーヒーを落とした。

自分の周りを360°囲む雑踏。
久々のそれを楽しく感じながら、いくつかの用事をのんびりとこなした。



東京駅に荷物を置いて、目黒洗足の靴工房Co.&Kokoroneさんへ。
思ったよりも随分、駅から近い。目と鼻の先だ。
いい具合に時を経た、コンクリートの四角い箱。チェレステブルーに塗られた階段を二階へ。

驚かせようと思い、連絡をせずに訪問。 
うおっ!なんで?!という、リアクションを期待するも、ご夫婦二人ともびっくりし過ぎて言葉を失っている。
予想外のリアクションに、い、い、いや〜、ははは…とキョドリながら、久々の再会を果たした。

陽の光が柔らかく入る、工房のショップスペースで、久々にゆっくりと話をする。
雪国生まれのご夫婦は二人共、真面目で、芯が通っている。
こんなに靴に対して、真剣に、真摯に向き合っている人達を僕は知らない。
出来の良い弟がいたら、たぶんこんな感じだろうな。
楽しくてのんびりした時間が、流れていく。

僕のあまりにも汚れた靴を、見るに見兼ねて磨いてくれた。
新しい発見。靴が綺麗になると気持ちがウキウキする。
蜂のロゴマークが入った靴クリームを買った。
お二人共、次の日からイベントという忙しい時に、どうもありがとう。
次は連絡してから行きます…たぶん。



目黒線に乗って目黒まで行ったら、恵比寿まで散歩。
僕にとって、大切なお店へ。
そのお店には数える程しか行ったことが無い。それどころかまともに買い物をしたことすら無い。
けれどそのお店での記憶は、延々と流れるコマ送りの映画みたいに、常に心の中の何割かの場所を満たしている。
久々にそこに並べられた様々なものを見ていると、なんだか泣きそうになった。
古い道具を手に取ると、人の手を握るように温度が伝わってきた。
この店があって、僕は幸せだと思う。
いくつかの古い道具を買って帰った。



あらかた、行きたいところにも行けたので東京駅に戻る。
待ち合わせまでしばらく時間があったので、新丸ビルへ。

上の方の階に、キャッシュオンでビールが買えて、テラスで適当に座って飲める場所があったはずだ。

ハイネケンを買って、夕暮れ時のテラスに出た。
人もまばらで、気持ち良い。
向かいの高層ビルから、皇居の方まで見渡せる。
夕暮れ時の山には敵わないけれど、これはこれで美しい。やっぱり。

待ち合わせた友達と、昔この辺りでバイトしていた想い出を辿るように、ご飯を食べて、お酒を呑んだ。
一緒に働いたのは、20代後半くらいの時だったけれど、それは確かに青春だったなと思う。
想い出話に盛り上がるのは歳の証拠かもしれないけれど、想い出話が増えていくのは決して悪いことじゃ無いような気がする。



楽しい時間を過ごして、今日の宿へ。
少々呑み過ぎて、ぼうっと車内を眺める。
今日は出来過ぎた一日だった。
ふとそう想った。

旅の記録 - 特に意味の無いイメージの羅列 -




こだまの旅   - 大坂から東の都に至るまで -



「木曽川」

景色の映る、川幅の大きな川に行きたいと思った。

川の色は空と見分けがつかないような深い碧でも、空を拒みながらもその姿を映さずにはいられない暗い翠でも良い。

川面は出来るだけ、凪に近くて、それは川というよりも途方も無く大きな湖のようであれば、尚更良い。

低木が水の中に沈むように、浮かぶように点々とするその場所で、ただ川と空を眺めていたい。
時間も境界もあたまの中でぐちゃぐちゃになるような、曖昧な世界を僕は望んでいるのかもしれない。



「遠州灘」

防潮林が延々と続いている。

あの向こうは遠州灘だ。

こんな薄曇りの日の遠州灘はきっといつもより綺麗だろう。

多くも少なくも無い太陽光パネルが、まるでビニールハウスか何かのように眼下を流れていく。

そういえば遠州灘の端にも風力発電の大きな羽根が回っていた。

防潮林の途切れた所にある、あの橋はきっと1号線だろう。



「掛川 チェレステブルーの町」

チェレステブルーは、まるで蛇のように、長く尾を引く飛行機雲のように、線路脇の町に線を引いて行った。

駐車場の金網で、道路に架かる小さな陸橋で、その余りにありふれた褪せた青緑は、色を繋いでいく。

どこまで線を引くんだろう。

唐突に線が途切れた集落で、ポツリとチェレステブルーの屋根が見えた。

民家の上でその色はすでにありふれた色では無く、線の終着点であるかのように、通り過ぎる僕を待っていた。



「静岡に向かうトンネルで」

随分小さなトンネルが、山の中に並んで穴を開けていた。

あの小さなトンネルには、どれ程小さな電車が通るんだろう。
きっとスピードは出せない。
身体を揺らすとあのトンネルには入れない。

斜面に作られた茶畑でおばさんが、一生懸命働いている。

森の中の道路はそのままでトンネルみたいだ。

トンネル
トンネル
トンネル

視界が急に暗くなって、音は一際大きくなった。
こだまもトンネルに入ったみたいだ。

ここからはトンネルが増えるのかもしれない。



「谺」

山が谺を返す。

川が谺を返す。

畑が谺を返す。

山間の集落が谺を返す。

土から生えた世界で延々と谺は跳ね返り、原始の音を鳴らし出す。

祝宴はしばらく続いた。

やがて景色は、ビルばかりになった。
石で蓋をされた世界を、谺はただ音も無く通り過ぎて行く。

僕は窓の外に興味を無くし、カバーの破れた小説を読み始めた。

一時間もすれば、東京だ。

身じろぎした視界の端で、熱海の海が顔を出していた。

2014年7月17日木曜日

また八王子に行きます。























それはまだ、僕が東京に住んでいた頃の話。

都心から、青梅へと引っ越した頃のことである。

青梅で始めて手に入れた愛車は「八王子ナンバー」
なんで八王子なんだよと、ぶつくさと呟やく。

その頃の僕は、実をいうと八王子が苦手だった。
青梅から少し南に下ったところにある八王子。
同じ東京の外れにあるにも関わらず、のんびりとした田舎町の青梅とは対照的に、八王子は地方都市という雰囲気で、なんだか、ギラギラしたイメージだった。

八王子ナンバーの車にも乗り馴れてきた頃、そんな行くことも無いだろうと思っていた街に、突然縁ができる。

八王子のうつわ屋さん、atelier yorimitiさんで作品を取扱っていただけることになったのだ。

始めての納品は、直接お店に伺った。
そのお店は八王子の大通りから少し外れた通りで、大きなショーウィンドーに、暖かい灯りを燈していた。
なんだかこの通り自体が僕の抱いていた八王子のイメージと随分違う。
チェーン店がギラギラと軒を連ねる駅前と違って、そこかしこから町の小さなお店の息づかいが聞こえてくる。
僕はyorimitiさんの扉を開く。

それからの八王子は暖かい想い出に溢れていた。
yorimitiさんの店内に大切に並べられた、好きの詰まったうつわ達。
企画展に遊びに来てくださった八王子の暖かい人達と過ごした時間。
お店のそばのたこ焼き屋さん。
山の中のほうとう屋さん。
…思い出すと楽しかった想い出が次から次へと溢れ出してくる。

その後、僕は東京を離れ、関西へと引っ越すことになったけれど、ふとした瞬間にその町や人のことを想い出す。

ある日僕は、左手に真新しい「神戸ナンバー」のプレート、右手にはドライバーを持っていた。
引っ越しに伴なう、車の登録変更というやつだ。

ボロボロになったネジを回し「八王子ナンバー」のプレートを外す。
プレートを眺めながら僕は呟いた。

「変えたくないなあ」

八王子は僕にとっていつの間にか大切な場所になっていた。

「また遊びに行きます」

くたびれた八王子ナンバーのプレートの奥で、いくつもの灯りが優しく揺れていた。


2014・7・19(sat) 〜 7・26(sat)
atelier yorimiti
『yuta × Reinbow Leaf  二人展』


atelier yorimitiさんは9月末をもって八王子での営業を終えます。
(半年〜1年程の休業期間の後、移転オープン)
その最後の企画展に参加させていただけることになり、心からうれしく、光栄に思います。
青梅のガラス作家さん平岩さんと共に、また八王子の皆様と楽しい時間を過ごせるのを、楽しみにしております。
是非遊びにいらしてください。



2014年7月6日日曜日

日々を振り返って。

随分と長いこと更新を疎かにしてしまいました。
少し長めに日々を振り返って。


5月。
クラフトフェアまつもと。

会場端にひっそりとある、小道にできた三角州。
躑躅の綺麗なその場所で、二日間の出展を楽しみました。

聞いた話によると同じ場所に去年は、友人の靴屋さんが出展していたそうな。
お互い端っこ好きそうな顔してるわ…と失礼極まりないことを思いながらニヤニヤ。

初詣並みの人の多さに、なかなかゆっくりとお客様とお話することはできませんでしたが、yutaの作品をたくさんの方にご覧いただくことができました。
蒸し暑い二日間にも関わらず、会場にお越しくださった皆様に心より御礼申し上げます。

また、端っこの方でお待ちしております。

6月。
原宿にて林拓児さんと二人展。
夕顔さんに食事会をしていただける贅沢。

林さんのうつわ、夕顔さんの料理、どちらも耳が痛くなりそうな程に静かで美しい。そして美味しい。
yutaのものづくりで強く意識している、静寂の美しさが揺るぎなくそこにある。
青梅の身を切るような凛とした寒さを想い出した。

嗚呼…あしたばご飯が食べたい。
帰りの新幹線で呑んだ缶ビールが最高に美味しかった。

展示をご覧いただいた皆様、そして食事会にご出席いただいた皆様、ありがとうございました。
またお会いできるのを楽しみにしております。

そして、7月。
これから始まる、atelier yorimiti 二人展。
東京八王子の大好きなうつわ屋さん。
詳細は改めて。

2014年5月22日木曜日

クラフトフェアまつもとへ


小石が落ちるように小さく弾けた

居所がわからない始まりの種

広大で、大量で、見つけることは、どだい無理な話だと思った

追うのはやめて、ただ耳を澄ました



週末はクラフトフェアまつもとに出展します。

6年前の出展は、積極的に作品を発表し始めるきっかけになりました。
あれから随分と時も経ち、今回のまつもとでは、どんな景色が見えるんだろう。

結局、延々と定番をつくり続け、特別なことは何もできなかったけれど、案外それで良いのかもしれない。

ありのままの自分が、6年前からどんな風に変わったのか。楽しみ。

2014年5月19日月曜日

衝動について


















歌を歌っている人達がうらやましくなることがある。

そういう時は決まって、叫び出したくなるような衝動に駆られている時だ。

少年の頃は衝動の吐き出しどころがわからなくて、一人部屋で枕に顔を押しつけて、わあ、とも、ぎゃあ、ともいえないような奇声を発したりしていたものだ。

…今考えると、ゾッとするような少年だが、まあ、そんな悶々とした衝動を持て余すのが、青春というものでは無いだろうか。

それから時は経ち、僕もオッサンといっていい歳になってきたわけですが、困ったことにこんな歳になってもやはり、叫び出したいような衝動に駆られることは、ままあるのである。

そんな時は、衝動のままにステージで歌を歌う人達を羨ましく思いながら、けれどその衝動をぐっとお腹の下辺りに押し込む。
そうすると、その辺りでそういった衝動だったり、強い想いだったりというものがぐるぐると渦を巻き始め、ふつふつと熱を持って、やがて濾過されて、ぽとりと一滴の気力となるわけです。

その気力を持って、作品をつくります。
じっくりと叩きます。ゆっくりと削ります。
そうしていると不思議とあの衝動は、ごく静かに作品に宿る気がします。

衝動は、静かな力にもなることがあり、衝動は静けさの濃度を増すこともあるのです。

そんなことを想ったり、願ったりして、作品をつくっています。

2014年4月11日金曜日

yuta-春

冬の緊張感はいつの間にか姿を消した。

ほんの少し勝手に、それを残して。

かすれた赤色の花が背伸びをした。

世界の色が変わっていた。



春。また皆様にお会いできることを願って。

2014年3月1日土曜日

新ページ「過去の展示会」
















CDは僕のもとから姿を消した

やけに赤いジャケットだけを残して


画質の荒れた夜はやけに鮮やかで

表皮の裏側にほんの少しの沈黙が残った



yutaのHPに、新ページ「過去の展示会」ができました。
(TOPページ「作品」 → 作品ページ「過去の展示会」)

一部ではありますが、yutaが過去に行った展示会の風景をご覧いただくことができます。

ぼうっと眺めていただくことで、ギャラリーやうつわ屋さんなどで行なわれる展示が、皆様にとってさらに身近な存在になるとうれしいです。

「展示会にふらっと遊びに行く」が、日々の暮らしのちょっとした楽しみに加えていただけることを願って。


過去の展示会 → http://www.yuta-craft.com/sakuhin/kikaku/index.html

2014年2月24日月曜日

【メール受信不具合についてのお知らせ】


メールサーバーの不具合により、2月22日〜2月23日前後に、
yutaのメールアドレス mail@yuta-craft.com 宛の
メールが受信出来ていない状態となっていたことが判明しました。

上記期間にお問い合わせをいただいておりましたら、
大変お手数ですが、再度ご連絡をいただけますようお願い申し上げます。
ご迷惑をお掛けしまして、誠に申し訳ございません。

※尚、現在は正常に受信が出来る状態となっております。